みかんのようでオレンジの風味。香りも色も春らしい旬のデコポンをピックアップしてみました。(2013/02/10作成)
品目:タンゴール類
植物学上の分類:ミカン科カンキツ属
品種:不知火(シラヌヒ)※デコポンは登録商標
主な産地:熊本県、愛媛県、広島県など
出回り時期:ハウス栽培は12月頃から、露地物は2~4月頃
盛り上がった果頂部(デコという)が特徴的なデコポン。
果皮は一見硬そうに見えますが、温州みかんのように簡単に手でむくことができ、果実を包む薄いじょうのう(袋)もそのまま一緒に食べられる、食べやすい柑橘類です。果実は果汁たっぷりで、オレンジのような爽やかな風味と香りも特徴です。
「デコポン」という名前は登録商標であり品種名は「不知火(シラヌヒ)」といいます。長崎県にある農林水産省果樹試験場で1972年に誕生したタンゴール類で、その後熊本県の不知火町(現・宇城市)で生産がはじまり、産地の名前が品種名になりました。「デコポン」は不知火の中でも糖度13度以上、酸度1度以下など統一された基準を満たす果実のみが名乗ることができます。
12月頃から贈答品コーナーなどに立派なデコポンが鎮座しますが、これらはハウス栽培のもの。露地ものは2月中旬~3月が旬です。
生食のほか、香りや風味がよいのでマーマレードにしたり、スイーツにしてもおいしくいただけます。
●主な栄養素
ショ糖、果糖、ブドウ糖などが主成分。ビタミンCが豊富であり、カロチンやビタミンEなども含みます。
●保存方法
風通しのよいところで、常温で保存できます。長く保存する場合は冷蔵庫で保存しますが、温度が低すぎると食味が悪くなるので注意します。
●ひとこと
不格好な姿がかえって愛らしい(?)デコポンですが、初めて食べたときからすっかりお気に入りのフルーツになりました。何と言ってもむきやすく食べやすい。オレンジのような香りも爽やかです。ときどき、果頂部の盛り上がり(デコ)の少ないものもありますが、樹の勢いや成長期の気温などによるもので、食味には関係ないそうです。
☆柑橘類の分類
品目に「タンゴール類」と表示しましたが、はて、「タンゴール類」って何でしょう。柑橘類は「ミカン類」「オレンジ類」「タンゴール類」「タンゼロ類」に大きく分類されています。「ミカン類」はインド、タイ、ミャンマー辺りが原産地で果皮がやわらかくむきやすいものの総称、「オレンジ類」はインドのアッサム地方が原産で香り高く多汁です。「タンゴール類」はミカン類とオレンジ類の雑種、「タンゼロ類」はミカン類とグレープフルーツ類を交雑させたものをいいます。「デコポン(不知火)」は、温州みかんとオレンジの性質を持つ「清見」とインド北部原産の「ポンカン」を交雑したものでタンゴール類に分類されます。
☆デコポンの糖度チェック
糖度13度以上、酸度1%以下が「デコポン」の条件。とは言っても、どのように果実の糖度を測るのでしょうか。糖度計で測ればわかりますが、出荷前に果実を切るわけはいきません。そこで果実の糖度を測るのに、光センサーが利用されています。デコポンの中には「光センサー」ラベルを貼られて販売されているものもあります。品質を保つために、いろいろな工夫が行われているのですね。