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野菜たちの個性や魅力を探り、特性を生かしたおいしい食べ方を見つけよう!

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フルーツパプリカ

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日差しが日増しに強くなって、夏の気配さえ感じるときがあるこの頃。カラフル野菜で元気になろう!ということで今回はフルーツパプリカです。
(2012/04/25作成)

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品目:ピーマン Bell pepper
植物学上の分類:ナス科トウガラシ属
原産地:熱帯アメリカ
種類:フルーツパプリカ
フルーツパプリカの主な産地(国内):高知県、熊本県、茨城県など
出回り期:ほぼ通年。旬は3月下旬~6月頃。糖度が高いのは春

フルーツパプリカってちょっと新しい名称ですね。
ピーマンみたいな姿だけれど、果たしてどんな野菜なのでしょうか?

本題に入る前に、まずはピーマンについて。
ピーマンはトウガラシの仲間で辛みのない種類です。一般的にピーマンというと、わたしたちはグリーンで肉の薄い、やや青臭さと苦みを帯びた野菜を思い浮かべますが、最近では赤や黄色、オレンジ色などカラフルで大型、肉厚のピーマンも普通に見掛けるようになりました。これらの大型ピーマン(ベル型ピーマンとも呼ばれる)は、店頭では「パプリカ」の名称で販売されていることが多いと思います。
一方、本来のパプリカはハンガリーで生まれた栽培品種で大型ピーマン同様に肉厚ですが、ベル型というよりはむしろかぼちゃのような扁平な形をしています。この大型ピーマンとパプリカ、実のところ定義が明確に区別されているわけではないため違いを説明するのは難しいのですが、品種としては異なるというところでしょうか。
前置きが長くなりましたが、さて「フルーツパプリカ」です。

近頃、この大型(ベル型)ピーマンまたはパプリカを肉厚なまま中型または小型にしたタイプの「フルーツパプリカ」なる野菜が登場しています。産地によっては「ミニパプリカ」だったり、ぐっと小型の「スナックパプリカ」という名称のものもあります。
フルーツ感覚で食べられることがウリで、たいてい赤、黄色、オレンジ色の3色がパッケージにされています(少ないですがグリーンもあります)。果肉は厚くみずみずしく甘みが強いので、生でサラダにしたり、炒め物や揚げ物などさっと火を通すくらいの料理でいただくのがおすすめ。加熱しても鮮やかな色を保つので目も楽しませてくれるでしょう。また生でかじると色によって甘さや風味が異なるので、それに気付くと楽しさもひとしお!
今回購入したのはいわゆるピーマンの形をしたフルーツパプリカ(茨城、熊本、沖縄県産)ですが、広島などでは本来のパプリカの形に近い(扁平な形の小型の)フルーツパプリカが生産されているようです。

ピーマンの代表的な産地としては茨城県、宮崎県などが挙げられますが、パプリカについては今のところ輸入もの(オランダ、韓国、ニュージーランド等)が多く、国産はまだ少数派。今後に期待されています。
フルーツパプリカはピーマンよりやや高価とはいえ、大型ピーマン・パプリカよりは手頃な価格で大きさも家庭料理で使いやすいサイズ。見つけたら、ぜひ試してみてはいかがでしょう。ピーマンが苦手という方にもおすすめです。

●栄養素

ピーマンはビタミンA、ビタミンC、カロチンなどが豊富な野菜ですが、パプリカ(ベル型も含め)はいわゆる普通のピーマン(中型の緑)よりさらに栄養価が高いのだとか。特に赤は色素成分のカプサンチンを多く含み、強い抗酸化作用があるとされています。また、ピーマン・パプリカに含まれるビタミンCは加熱しても損なわれにくいのが特徴。栄養素を効果的に摂取できそうです。

●保存方法

ビニール袋等に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存します。新鮮なものは1週間くらい持ちます。

●ひとこと

ベル型ピーマン、パプリカ、ミニパプリカ、フルーツパプリカ、カラーピーマン……。とにかく名称がややこしい。調べれば調べるほどわからなくなってしまいました。この辺で降参して、とにかくおいしいもの作ろう!

☆ピーマンの歴史

熱帯アメリカ原産のピーマンは15世紀の終わりにコロンブスがヨーロッパへ持ち帰り、香辛料として世界に広まったとされています。日本へも最初はトウガラシの一種として伝わりました。甘味種(品種改良された辛みのないもの)が入ってきたのは明治初期で、一般的な家庭の食卓に上るようになったのは戦後とか。初期のピーマンは青臭さが強くなかなか普及しなかったものが、その後国内で食べやすいよう品種改良が進み、1960年頃から現在のような肉薄の中型ピーマンが生まれ主流になっていったのだそうです。そういえば、昔(昭和)のピーマンはもっと固くて苦かったような?

☆変身!

大型ピーマンは完熟することで緑から赤や橙、黄色へと変化します。つまり、緑は野菜が未熟な状態(未熟果)ということ。生で食べると、完熟したもの(赤や黄)は甘みが増しているのがわかります。いわゆる普通のピーマンも完熟すると赤くなるので、緑に苦味は感じても赤ピーマンにはほとんど感じられません。それならどうして未熟なうちに食べるのだ!と言いたくなりますね。ピーマンは完熟に時間がかかるため(ほぼ7週間)、効率が悪くコストもかかる(つまり高価になる)という話もありますが、本当のところどうなのでしょう。でも、緑は緑であのほろ苦さは結構好きです。