この時期(5月下旬)ピッタリくる野菜って何だろう。店頭で悩んでいたところ、ありました。輝くような紫色のなす!ということで今回はなすをピックアップ。(2012/05/25作成)
品目:ナス eggplant
植物学上の分類:ナス科 ナス属
原産地:インド東部
種類:中長ナス
主な産地:高知県、熊本県、群馬県、栃木県、茨城県など
出回り期:周年。旬は6~9月
「秋なすは嫁に食わすな」という諺などから、なすは秋の野菜というイメージがありました。でも実は、なすは夏の野菜。現在はハウス栽培が盛んに行われているため周年出回っていますが、なす本来の旬は6月~9月頃。まさにこれからが本番です。
インド東部が原産のなすは、奈良時代に中国から伝えられたとされる歴史の古い野菜のひとつ。そのため、全国各地で形もさまざまな品種が育まれてきました。
たとえば、関東ではやや小型の卵型、関西では長めの卵型、西日本や九州では長なすや40cm以上もある大長なす、また、京都の賀茂なす(丸なす)や山形の小丸なすなど伝統野菜としてブランド化されているものも多くあります。用途も焼きなすや煮物に向くもの、漬物用などバラエティに富んでいます。
現在、主流は千両なすに代表される中長なすですが、それでも八百屋さんの店頭をよく見ると、形も産地もいろいろななすを発見できますので、思わぬ変わり者を見つけて食べてみるのも楽しいでしょう。
なすは、それ自身は淡白ですが、ほかの食材と調理することでとてもおいしくなる野菜。煮物、炒め物、てんぷら、グラタン、みそ汁の具などいろいろな料理に活躍してくれます。油と相性がよいので、素揚げしてから煮込む料理は定番。また、夏は煮びたしなどにして冷やしていただくのもおすすめです。
体を冷やすといわれていますが、夏バテしそうな時にはちょっとスパイシーななす料理でクールダウン、かつパワーを補うのもよいかもしれません。
●栄養素
なすは炭水化物が中心で目立った栄養素は少ないですが、コリンという物質を含み、血圧を下げたり胃液の分泌を促したり、肝臓の働きをよくするといわれています。「なす紺」といわれる艶やかな紫色の皮にはアントシアニン系の色素「ナスニン」を含みますが、これはポリフェノールの一種で抗酸化作用があり成人病の予防に役立つと期待されています。
●保存方法
ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存します(低温が苦手なのであまり冷やし過ぎないように)。1週間くらい持ちますが、乾燥するとしなびてしまうので早めに食べきりましょう。
●ひとこと
高知県産 高知なす栃木県はが野産 ハウスなす群馬県産 なす
今回は、栃木県はが野のハウス茄子と、群馬県のなすを購入しました。はが野は栃木県内のなすの5割近くを生産し、特産品として生産に力を入れているのだとか。光にあてると紫色に光るきれいななすでした。一方群馬のなすは黒に近く、炒めても色抜けせずしっかり黒光りしてくれました。なすを「一般的な」とひとくくりにしましたが、産地によってやはり個性があります。小さな違いに気付くと野菜がいっそう愛おしくなりますね。
☆大和丸なす
普段、お高い丸なすですが、「特売」の文字につられて買ってみたのは奈良県産の大和丸なす。奈良の伝統野菜でツヤツヤとした紫黒色の皮とヘタの太いトゲが特徴です。肉質は緻密で煮崩れしにくく油を吸いすぎないとのことなので、なすのミートソースパスタを作ってみました。なすを縦4等分してザクザクと大ぶりなイチョウ切りにし、素揚げしてミートソースに加えたのですが、なるほど、確かに油は吸いすぎないかもしれない。肉質はむっちりとしてジューシー。しっかりなすを食べた感じがします。田楽などがおすすめ料理だそうですが、パスタにしてもおいしい。調理の際はトゲに気をつけて!
☆秋なすは…
なすの話になると必ずこの諺が出てきます。いわれは諸説ありますが、なすは体を冷やすのでお嫁さんの健康をいたわる意、と説明されることが多いよう。なすは好きでよく食べますが、個人的には体を冷やすことより漬物なら塩分が、炒め物ならたっぷり含まれたはずの油が気になるところではあります。ところで、もう一つの説、「秋なすはおいしいから…」についてですが、夏と秋でなすの食味にはやはり違いがあるのだとか。夏のなすは水分が多く、秋のなすは昼夜の温度差により果肉がつまって滑らかな味わいになるという。気にしたことはなかったけれど、そうなるとやっぱりなすは夏より秋のほうが旬?
☆小なす栽培に挑戦
夏の収穫を目指し、小なすを育てることにしました。「薄皮味丸」という品種の丸なすです。プランターで育てるので土が少なく、丈夫に育ってくれるか心配。でも、苗を植えて約一週間、今のところ元気に少しずつ大きくなっています。小なすですから、とれたら浅漬けでしょうか。またどこかで、小なす育成状況をレポートしたいと思います。