小春日和に茹でた新じゃがと冷えたスパークリングワイン!いいですねえ。ということで今回はじゃがいもをピックアップしました。(2012/04/03作成)
品目:ジャガイモ potato
植物学上の分類:ナス科ナス属
原産地:南アメリカ
品種:ニシユタカ、デジマなど
主な産地:長崎県、鹿児島県ほか
新じゃがの出回り期:4~6月
新じゃがいもとは品種ではなく春に収穫されるじゃがいものこと。
じゃがいもには春と秋に旬があり、春に収穫されるじゃがいもが「新じゃが」と呼ばれます。
じゃがいもは1月の終わりから6月頃まで、九州(鹿児島・長崎など)を皮切りに関東(茨城・千葉など)、北海道へと産地が北上していき、出回る種類も「デジマ」「ニシユタカ」「男爵」など産地によっていろいろあります。
つまり、夏頃まで新じゃがはどこかで出回っているわけなのですが、やはり、春先に出回るもの(多くは九州産、ニシユタカなど)が、新じゃが!というイメージですね。
とれたての新じゃがは水分が多く、皮が薄くやわらかいのが特徴。
小ぶりなものはふかしたり、皮付きのまま茹でてバターをからめるなどして、まるごといただくのがいちばんです。煮込んでもくずれにくい一方で水分が多いためマッシュポテトなどには少々不向き。選ぶときは皮がなめらかで傷がなく、ふっくらとしたものを。芽が出ていたり、緑色に変色しているものは避けましょう。
●栄養素
じゃがいもはビタミンCを多く含み、「畑のリンゴ」と呼ばれています。しかも豊富なデンプンに包まれているため加熱しても損失が少ないのが特徴です。また、ビタミンB1・B6、カリウムも豊富。カリウムは体内の塩分を排出させる働きがあるため、高血圧のの予防にも効果的とか。
●保存方法
低温に弱いので冷蔵庫には入れず、新聞紙にくるんだり、紙袋に入れて陽のあたらない風通しのよい場所で保存します。明るいところに置いておくと芽が出やすいので注意。また、新じゃがは日持ちしにくいので新鮮なうちにいただくのがおすすめです。1週間くらいで食べきりましょう。
●ひとこと
買ってきた新じゃがを、うかつにもそのままキッチンに出しておいたところ、青みを帯びてきてしまいました。やや、これはまずい、とあわてて紙袋にしまうも遅し。そこからの進行は早く、2、3日でたくましい芽がいくつも! 芽を落とし、皮をむいて食べることはできましたが、たくさん買い込んだときは要注意ですね。収穫後も野菜はしっかりと生きています。春のじゃがいもは生きようという力に満ち溢れているのです!
☆ソラニン
新じゃがを買って室内に置いておくと皮がうっすら緑色を帯びてくることがあります。若いからかな、と気に止めないことも多いですが、これはちょっと危険なサイン。「じゃがいもの芽にはソラニンという毒素が含まれる」とは周知のことですが、実は皮の青みもこの成分によるものなのです。しゃがいもは収穫後に光を浴びるとソラニンやチャコニンなどグルコアルカロイドと呼ばれる毒性の物質を生成し、それが芽や皮の周囲に蓄積するのだとか。知らずに食べると食中毒を起こす危険も。茹でて皮つきのまま食べるのは新じゃがの醍醐味ですが、調理するとき皮が緑色を帯びていたら、しっかり皮をむいて使いましょう。保存するときは光を当てないように注意します。
☆じゃがいもの概略
南アメリカ、アンデス山脈が原産のじゃがいも。先住民の食料とされていたものがコロンブスの新大陸到達後にヨーロッパに渡り、日本には15~16世紀にオランダ人によってジャガトラ(インドネシア)から伝えられたのだとか。そのためジャガイモと呼ばれるようになったという説があります。また、よく耳にする馬鈴薯という呼び名は馬につける鈴に形が似ていることから。日本で本格的に栽培がはじまったのは明治以降で、現在主要となっている品種の男爵も明治40年代にアメリカから導入されたもの。主成分はデンプンですがビタミンや食物繊維も含み、穀物と野菜の両方のはたらきを持つ優れた食材です。男爵とメークインが主力どころと思っていましたが最近では種類もいろいろ増えてきました。栽培も比較的容易なことから家庭菜園でも人気があるようです。
☆余談、デンプン
じゃがいものデンプン、見たことがありますか? 真っ白でキュキュッとしていて、とてもきれいなんです。かつて(はるか昔)小学校の理科の授業でデンプンを取ろうという実習があり、やり方は忘れてしまいましたがそれで作ったデンプンが最初で最後の自家製デンプンだったと記憶しています。その美しさに無垢な(当時)筆者は目を見張ったものでした。今では片栗粉というと、ほとんどはじゃがいものデンプンから作られているのだそうです(カタクリから作られているものは少ないんですね)。そんなわけで、今では多くの人が日常的にじゃがいものデンプンを目にしているはずです。